2012.08.06
「伊藤進選集」が刊行され始めました。伊藤先生は1986年〜89年には校長として鴎友学園を牽引してくださった先生で、
北海道大学卒業後、弘文堂で編集事務を1年間担当、1952年から鴎友学園の理科教諭として活躍されていました。
伊藤先生は、文学をやりたかったのだけれども父に反対されて……と、理学部に進まれ、鴎友学園では
化学を教えていらっしゃいました。一人ひとりを研究者の立場に置く鴎友の理科を創られてきた一人です。
視聴覚教育・放送教育にも関わっていた縁で、一時はNHK高校講座の講師を務められたこともありました。
先生は、鴎友学園の中では校長先生でありながら、白衣を着て、学校中を走り回っている先生という印象がありました。
また、言葉=ロゴスを大切にされる先生で、生徒の前でのスピーチには、いつも印象に残るフレーズがあり、
簡潔でありながら、生徒や教員の心にストレートに届くすばらしいものがありました。今でも広報で使っている
「《よろこび》と《真剣さ》あふれる学園」などというフレーズも、校長就任時に伊藤先生が創ったものです。
選集の刊行を知らせるパンフレットには、「ありのままの肯定とは、伊藤さんの言い方を借りれば
『……それではいけないんだ。けれどもそれでいいんだ、という肯定』」である」という言葉があります。
「まず肯定から始めよう」には、「神の然りに生かされながらもなお『それではいけないんだ』」という意味があるのです。
また、内村鑑三、塚本虎二、植木良佐、関根正雄先生などとの出会い、そして「立原道造ノート」など、
私たちの知らない、でも「そうか、そうだったのか」と思わせる文章をこれから読むことができそうです。
キリスト教図書出版社から全4冊+奥様の文集1冊が順次刊行されていき、第1冊はすでに3月に刊行されています。
全国のキリスト教書店で、あるいは一般書店からは「日キ販経由」と指定して予約することができます。