受験生向けトピックス

【鷗友枕草子】Essay#4「私の修学旅行」②

DATE : 2025/01/12

「私の修学旅行」②

 修学旅行の感想第2弾です。

 今回は高校2年生のIさんが書いてくれました。Iさんは、第1弾のMさんと同じクラブに所属していてとても仲良しです。二人とも言葉や文学、文化や音楽に興味を持っていて、おもしろいものを見つけるとよく話しにきてくれます。ふだんから全方向に知的好奇心が高い生徒です。鷗友学園では修学旅行出発前に代表生徒が教員室で先生たちに向かって、「出発の挨拶」をするのですが、今回高校2年生を代表して、Iさんが挨拶をしてくれました。

 それでは、Iさんの感想をお楽しみください。写真も全て、Iさんが撮影したものです。

私の修学旅行 高校2年生Iさん(文系・日本史選択・軽音楽同好会)

 こんにちは。高校2年生のIです。私たち高校2年生は、11月25日から29日まで4泊5日の奈良・京都の修学旅行に行って来ました!(1~3日目は奈良県・3~5日目は京都府です)

 私は学年の代表として教員朝礼で先生方全員の前で修学旅行の出発の挨拶をさせていただきました。その中で私は古典(古文)と日本史が大好きで、特に平安時代の文学や文化に興味を持っており実際に神社やお寺に参拝できることや、4日目にグループごとにテーマを決めてそれに沿った見学を行うという自主研がとても楽しみだ、というお話をさせていただきました。5日間の行程で私は22ヶ所もの見学地に足を運び実際に仏像や景色など、生で見るからこその美しさを感じることができました。どの見学地もとても楽しくて、少し省かざるを得ないのがとても残念なのですが、私が印象に残った見学地と大好きな仏像について感想を書きます。

1日目

 まずは初日に行った安倍文殊院です。1日目はクラスごとにお寺に参拝し、私のクラスは安倍文殊院に行きました。ここは平安時代の陰陽師・安倍晴明が出生した地として知られており、本尊である文殊菩薩は知恵を授ける仏様です。みんなで学業成就をお祈りし、合格門をくぐりました。

2日目

  2日目に行った甘樫の丘は奈良県明日香村にあり、蘇我蝦夷・入鹿の邸宅が構えられていたとされる場所です。この丘の頂上までクラス全員で登り、登頂後にそこから眺める景色は格別でした。大和三山(畝傍山・耳成山・香具山)や奈良盆地、飛鳥寺などを一望でき、奈良時代に多くの和歌に詠まれた「天の香山」を実際に初めて見た時、奈良時代の人の心を思わず想像してしまいました。

(甘樫丘からの一望)

 そして、私がこの日最も楽しみにしていた高さ87cmの夢違観音像に法隆寺で対面しました!日本史の授業で習ってからこの仏像は絶対に見たいと思っていたので、白鳳文化特有の穏やかな表情を一目見ただけで癒されました。その後に見た玉虫厨子は自分の想像以上に大きく、迫力がありました。日本史の先生が授業の時に玉虫の羽のイヤリングをクラスで回してくださったことを思い出し、完成当時はどのような色彩だったのか興味をそそられました。

3日目

 奈良見納めの3日目は自分たちが選択したコースごとにお寺を回りました。

 私は総国分尼寺である法華寺コースを選択しました。法華寺に行く前に、総国分寺である東大寺へ行き、とにかく広い境内の中を巡りました。私は広目天(四天王のうちの1人)が、ポストカードを持っているほど大好きで、戒壇堂の中で見学できてとても嬉しかったです。肩の部分には獅子の形をした袖があったり足の付け根など埃が被らない部分には当時の色が残っていたりしてそれを見た時には感動しました。広目天は悪い行いをした人を書き記すために筆と紙を持っており、厳しい眼差しで私たちを見つめています。

 また、鎌倉時代に運慶・快慶によって作られた東大寺南大門の阿形・吽形は筋肉質で血管まで細かく描写されている写実的な作品でした。私が撮ったベストショットです!

大地を踏み締めている足の表現が素晴らしいです。今にも歩き出しそう…

 その後東大寺の近くにある興福寺国宝館へ行きました。私は興福寺仏頭という、現在は頭しか残っていない仏像も日本史の資料集で見た時からのファンです。特に目と眉がスラーっと通っている部分が私は好きです。そして、あの有名な阿修羅像も展示されていました。光明皇后(聖武天皇の皇后で藤原不比等の娘)が1歳の息子を亡くした時に作られたのが阿修羅像ですので、その男の子がどのような青年に成長していくはずだったのだろう、と彼女は思いを馳せながらその像を見たに違いないと思います。光明皇后の思いを想像すると少し悲しくなりました。平安時代に栄華を極めた藤原氏の氏寺である興福寺へ足を運ぶことができとても貴重な経験でした。

 最後に、法華寺に行きました。法華寺では十一面観音像を見ました。この仏像は一木造りで先ほど登場した光明皇后をモデルにした像だそうです。この仏像は腕が普通の人間よりも長く、膝下に指が伸びているほどの長さです。このお寺では別室にある不動明王を見せていただいたり当時のお風呂(「からぶろ」:サウナのようなもの)の仕組みを見せていただいたりと、教科書ではなかなか見ることのできない人々の生活の一面も想像することができました。

4日目

 待ちに待った自主研の日(4日目)がやってきました。私のグループは「平安文学ゆかりの地を巡る」というテーマのもと2024年に大河ドラマで放送された紫式部や『源氏物語』、『大鏡』、百人一首のゆかりの地を巡りました。

 中でも紫式部の邸宅跡である廬山寺では源氏庭と呼ばれる美しいお庭を見学したり貝合わせが展示されていたりと、『源氏物語』の世界観を堪能できるお寺でした。

 (蘆山寺)

 また、上賀茂神社(百人一首「ならの小川」/紫式部歌碑があった)、下鴨神社(鴨長明ゆかりの神社)など葵祭で有名な神社や、一休宗純ゆかりの大徳寺で「源氏物語図屏風」を見学したりと、『源氏物語』を中心とした平安文学ゆかりの地を見学することができました。

5日目(最終日)

 最終日は東福寺と三十三間堂、広隆寺に行きました。東福寺は京都五山と呼ばれる臨済宗のお寺で通天橋や、紅葉、龍吟庵の庭園など景色がとても美しかったです。

 (東福寺)

 また、三十三間堂(蓮華王院本堂)では平清盛が後白河上皇へ寄進した1001体の仏像を見学しました。日本史の先生によるとこの一体一体の仏像には光背がなく後光が差しているようなデザインになっているそうで、より多くの仏像がよく見えるようにするためのものだそうです。三十三間堂は1001体の仏像を納めているため、本堂の距離が長く、見ても見ても黄金に輝く仏像が待っている、という状態でした。これだけの仏像を寄進することができた平清盛の権力の強さと財源に圧倒されました。

 私は文系で日本史を勉強しており、この修学旅行は資料集でしか見たことのなかった世界を直接肌で感じることができるという貴重な機会となりました。また、奈良・京都が舞台の小説で大好きな作品を修学旅行前に読んでから行ったのでより一層楽しむことができました。ただ受験勉強になるから、というのではなく日本人のルーツを知る手掛かりになったこの旅行を通し、更に日本文化を築いてきた歴史への興味が湧きました。本当に楽しかったし一生の思い出です!!

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